大学コンソーシアム京都(以下、財団)では、財団事業の見直し・改善、新規開発・高度化や財団加盟校への情報提供に資することを目的に、2015年度から指定調査課題を設定し、専門分野の研究者による調査研究を行っています。
2016年度は京都大学大学院工学研究科 吉田哲 准教授の研究グループ(京都大学・同志社大学・京都産業大学)により、「大学での障害者差別解消へ向けたアクセシビリティと合理的配慮のDBの構築 障害学生支援室連携組織の設立へ向けて」をテーマに、月2回のペースで以下の内容について調査研究を進められています。(2016年度財団指定調査課題の詳細はこちら)
1 障害学生の大学施設へのアクセス方法のデータベース化
講義室、校舎共用部分のアクセスやバリアに関する情報を簡易に調査でき、アイコンでの一覧表示が可能なシステムを構築した。これを使って、9月12日には京都大学の全学共通科目で利用する6館9棟の講義室や、校舎内共用部分など、合計300カ所以上のアクセスやバリアに関する情報の調査を実施した。10月以降同志社大学での調査を計画中である。
2 障害学生支援室ノウハウの「見える化」
障害学生支援業務を支援室設立当初から担ってきたコーディネーターによると、「部局間をまたぐ関係教職員への理解・啓発の手法」、「失敗例による支援の再構築」などの、業務の背景にある能力が、障害学生支援のポイントとなることがわかった。そこで、支援室の設立から軌道に乗せるまでの、コーディネーターの必須業務、年間業務を整理するとともに、ポイントとなる暗黙知の見える化を目指している。
3 障害学生支援にあたっての建物改修事例の収集とデータベース化
研究会の議論の中から、建物改修事例を盛りだくさんに示すのではなく、改修への関与の過程を記録する方が、障害学生支援には有効な知見になるとの理解に至った。そこで、関係部署の改修工事への関わり方の肝を
1)改修前の設計段階からの支援
2)工事直前段階での支援
3)工事完了直後の改修への支援
といった関与事例から、重要な点を提示することとした。3)では京都大学におけるバリアフリー改修(スロープの設置)にあたって、車椅子を利用している学生や障害学生支援コーディネーター、施設担当者、教務担当者により、改修の内容を検討し、実施した。
4 障害学生支援コーディネーターたちの支援ノウハウの構造化と支援に関する障害学生の視点に関する探索的質的研究
コーディネーターの障害学生に対する面接をエスノグラフィ、会話研究で調査し、支援スキルの構造化を行う。さらに、障害学生が支援について求めていることや支援に関する障害学生の視点をインタビューによって探索的に聞き取る研究を、同志社大学と京都大学で開始した(京都大学医学研究科の倫理審査より了承を得た)。
下記は、9月12日、京都大学吉田南キャンパスにて、「1 障害学生の大学施設へのアクセス方法のデータベース化」に関わる調査を実施した事例である。京都大学の学生の協力を得て建物のアクセシビリティの調査を行った。
上記調査研究を3月の成果報告会までに進めていく予定です。今後の調査研究の進捗にご期待ください。
お問い合わせ
公益財団法人 大学コンソーシアム京都 指定調査課題 担当
TEL 075-353-9130 FAX 075-353-9101
〒600-8216 京都市下京区西洞院通塩小路下るキャンパスプラザ京都内
※窓口受付時間:火~土曜9:00~17:00(年末年始を除く)