事業概要
大学コンソーシアム京都では、2001年に開講した「プラザカレッジ」において、京都学研究の研究成果を「京都学講座」として公開してきました。2009年度からは、京都市とともに大学の知の資源を地域に開放する生涯学習事業「京(みやこ)カレッジ」における京都力養成コースの一講座として、京都に関する様々な事象の中から毎年テーマを設定し実施しています。2016年度で16回目の開講となります。
京都市協働事業
2016年度 京都学講座「京の文化遺産 -未来につなぐ日本のたからもの-」
- 開催概要
- 京都には歴史的な建造物が多く、美しい町並みを形成しています。世界遺産の寺院や神社、二条城にくわえ、群としては上賀茂の社家町、花街、国の重要文化的景観の岡崎界隈があります。公家屋敷に京町家、明治以降の近代建築や近代化遺産の建物も、市内各所に息づいています。こうした有形の建造物に、年中行事や祭礼、また料理など無形の人の営みが加わると、洗練された伝統の美しさが四季折々に立ち現れてくるのです。今回のシリーズは、未来につなぐ日本のたからものとしての京の文化遺産を解き明かしていきます。
- 日 程
- 2016年4月30日(土)~2016年12月10日(土)10:00~11:30(受付9:30~)
※全10回基本講座+2回の実地講座(実地講座は時間、場所が異なります)
なお、2016年度京都学講座の開講にむけて3月12日(土)に特別講座(申込不要・入場無料)を実施します。 - 会 場
- キャンパスプラザ京都 4階第2講義室
(京都市下京区西洞院通塩小路下る) - 内 容
- 大学コンソーシアム京都 京都力養成コース京都学講座 パンフレット【詳細はこちらから】
第1回 2016年4月30日(土) 「賀茂の文化~式年遷宮諸祭を終えて~」
講師: 田中 安比呂 氏 賀茂別雷神社(上賀茂神社) 宮司
(対談) 小林 一彦 氏 京都産業大学 教授、日本文化研究所 所長
世界文化遺産に登録された当神社には国宝の本殿を始め数多くの文化財建造物や、賀茂祭(葵祭)等年間70を超える諸祭典・行事があります。それらを今日迄継承し得たのは平成27年で第42回目を数えた「式年遷宮」の制度に他ならないと考えます。遷宮諸祭典の奉仕を終え、改めて先人から受け継いだ賀茂の文化について、視覚資料も交えて皆様に詳しくお話し致します。
第2回 5月 14日(土) 「京町家のくらし・しきたり」
講師: 杉本 節子 氏 公益財団法人 奈良屋記念杉本家保存会 常務理事
杉本家初代は、江戸期寛保3年に京呉服商奈良屋を創業。以降昭和の終わりまで家業を続けましたが平成4年、京町家杉本家住宅とそこに育まれた江戸期町衆の文化を財団へ移管しました。五代目によって天保年間に綴られた暮らしの備忘録『歳中覚(さいちゅうおぼえ)』が伝えられ、今日もそのしきたりが継承されています。本講座では、食のならわしを中心とした江戸期の京商家の質素倹約・始末した暮らしの本質にふれつつ、現代のわたしたちが学ぶべきことは何か考察します。
第3回 5月21日(土) 「二条城の魅力 ~建築と障壁画の融合」
講師: 並木 誠士 氏 京都工芸繊維大学大学院 教授、美術工芸資料館 館長
世界遺産・二条城は17世紀初頭の武家風書院造の様式をとどめた城郭建築の代表であるとともに、狩野探幽をはじめとする桃山から江戸時代はじめにかけて活躍をした狩野派の絵師たちの障壁画の宝庫でもあります。そして、二条城の魅力は、その建築と絵画の制作当初のあり方を体験できる点です。講座では、二条城の部屋の構成と障壁画の関係を中心にこの建物の魅力を紹介します。
第4回 6月25日(土) 「祇園祭の現在と未来」
講師: 岸本 吉博 氏 公益財団法人 祇園祭山鉾連合会 理事長
(対談)八木 透 氏 佛教大学 歴史学部 教授
7月24日の後祭が49年ぶりに、さらに大船鉾が150年ぶりに復活して2年が経過しました。祇園祭はこれからどう変わってゆくのでしょうか。今年から新たに山鉾連合会理事長に就任された岸本吉博氏をお招きして、祇園祭を取り巻く種々の問題、そしてこれからの祇園祭の展望について、抱負を語っていただきたいと思います。
第5回 7月16日(土) 「京の花街の建築文化」
講師: 井上 えり子 氏 京都女子大学 家政学部 准教授
京都には、祇園甲部、祇園東、宮川町、先斗町、上七軒の5つの花街があります。これら花街には、お茶屋・屋方(=置屋)に加え、歌舞練場(踊り専用劇場)、稽古施設(学校含む)、検番といった花街に特有の建築物があります。本講義では、京都5花街での調査をもとに、これら建築物について紹介し、花街の建築文化とその存在意義について考察します。
第6回 9月3日(土) 「京都の洋風建築の見所案内」
講師: 川島 智生 氏 京都華頂大学 現代家政学部 教授
古都京都は戦争や震災から逃れたことで、数多くの歴史的な建造物が残っています。ここでは明治大正昭和の洋風建築を取り上げ、その特徴と意義について解説します。明治初期の擬洋風からはじまり、明治後期の本格的な洋風建築、大正期のセセッションや和風意匠との融合、昭和初期のアールデコやモダンデザインなど、歴史的な変遷を辿ります。また、学校や住宅、工場などあまり着目されない建築類型についても論じながら、京都で活動した建築家についても紹介します。
第7回 10月8日(土) 「文化遺産としての保津川下り~重要文化的景観の選定をめざして」
講師: 豊田 知八 氏 保津川遊船企業組合 代表理事
(対談)河原 典史 氏 立命館大学 文学部 教授
平安京の造成にあたって、保津川を利用して木材が運搬されました。約400年前には角倉了以・素庵親子が川を開削し、船によって薪や米などが運ばれるようになりました。明治期には、京都鉄道(今のJR嵯峨野線)の開通により輸送手段は鉄道へ移りました。一方、保津川下りは、観光資源として注目されるようになりました。保津川下りの伝統と船士(せんし)の活躍をお話します。
第8回 10月22日(土) 「岡崎の文化的景観と琵琶湖疏水~鴨東運河をめぐる岡崎地域の土地利用の変遷」
講師: 白木 正俊 氏 大阪府立大学 高等教育推進機構 講師
近代における岡崎地域の景観の変遷を、主として地図と写真を示しながら解説します。琵琶湖疏水が同地域の土地利用を規定した意味は大きく、近世後期には郊外農村に過ぎなかった同地域は別荘地や工場地、更には美術館・動物園・平安神宮が集中する京都を代表する祝祭空間に変貌しました。一方、同地域は現在でも近世からの特徴を一部残すとともに、戦後の開発も免れなかったことから、現在の岡崎地域がモザイク状に形成された郊外地であることを明らかにします。
第9回 11月12日(土) 「日本の伝統的な出汁~そのおいしさと健康への寄与」
講師: 伏木 亨 氏 龍谷大学 農学部 教授
だしは日本食の味わいの中心となる重要なものです。しかし、フランスや中国をはじめ、世界中にだしと呼べるものは数多くあります。日本の伝統的なだしは、例えば、昆布と鰹節ならば、雑味の出ないように短時間で引くことにあります。純粋なうま味へのこだわりは、素材の美味しさを活かします。伝統的なだしのおいしさの理由を解説しながら、健康的な日本食とだしとの関係を明らかにしたいと思います。
第10回 12月10日(土) 「清水の舞台から」
講師: 森 清範 氏 音羽山清水寺 貫主
(対談)八木 透 氏 佛教大学 歴史学部 教授
清水寺は創建以来10回を超える大火に見舞われ、その都度再建されてきました。応仁の乱の兵火では願阿上人が多くの人たちからの勧進によって、建物ではなく、まず梵鐘を鋳造することから寺の復興を行いました。これはすばらしい考えです。いま清水寺は平成の大修理を行っています。歴史は単に時間の継続をいうのではなく、時々の息吹を吹き込んでこそ輝きを生みます。
実地講座
京都学講座では、講義形式の講座だけでなく、実際に現地で京都に触れる「実地講座」を取り入れています。今回の実地講座は次の通りです。
※実地講座の参加は京カレッジ生(後述)のみお申し込みできます。申込方法は、まず京カレッジ生へお申込みいただき、京カレッジ生となった方へ実地講座のお申込みをご案内いたします。応募多数の場合は抽選となりますのでご了承ください。
実地講座① 7月22日(金) 10:00~11:30 「祇園祭 ハレの日のしきたり」会場: 重要文化財 杉本家住宅
定員35名(応募多数の場合は抽選) 参加費1,500円
解説: 杉本 節子 氏 公益財団法人 奈良屋記念杉本家保存会 常務理事
杉本家は明治3年(1870)上棟の京町家、重要文化財に指定されました。所在地である矢田町は、祇園祭に伯牙山を出す氏子町であり、杉本家住宅「店の間」はそのお飾り所として毎年7月14日~16日公開されています。今回の見学会は特別に祇園祭後祭の期間に行い、江戸期以来の当家の祇園祭との関わり、ハレの年中行事のしきたり、所蔵の村松景文(円山四条派絵師)による山鉾図絵について解説します。
実地講座② 11月26日(土) 12:00~14:00 「日本料理の醍醐味を探る」会場: 京料理 萬重
定員45名(応募多数の場合は抽選) 参加費8,000円
解説: 田村 國勝 氏 京料理 萬重 二代目主人
京の伝統文化が深く息づく西陣の地で、昭和12年の創業という京料理 萬重。「暖簾に受け継ぐ商いの心は、お一人お一人のお客様の心にかなう当店ならではのお料理を供することです」と語る二代目のご主人の田村國勝氏に、ユネスコ無形文化遺産にも登録された日本料理の醍醐味についてお話いただきながら、伝統の味をご賞味いただきたいと思います。
お申込み
「京の文化遺産~未来につなぐ日本のたからもの」は10回の基本講座で構成されています。講座への参加は、京カレッジ生として全10回の講座に出願する方法が基本です。なお、2回の実地講座は京カレッジ生として受講可となった方のみお申し込みいただけます。
◆京カレッジ生として受講する
- 受 講 料
- 10,000円(全10回)
※実地講座は別途費用が必要です。 - 申込方法
- 京カレッジ生募集ガイドに添付の出願票でお申し込みください。出願票は下記京カレッジリンクのホームページにある「2016年度出願方法」の出願票作成システムから、出願内容を記載し、提出用に印刷していただけます。
- 提出書類
- ①出願票1部
②京カレッジ会員証用顔写真(縦3㎝×横3㎝)1枚 - 受付期間
- 《郵送》2016年3月8日(火)~19日(土)必着
※持参する場合は18日(金)・19日(土)10:00~16:00の2日間、キャンパスプラザ京都で受け付けます。 - 提 出 先
- 大学コンソーシアム京都(京カレッジ担当)
京カレッジリンク https://www.consortium.or.jp/project/sg/details
【注記】
1.申込方法の詳細は京カレッジ生募集ガイドにてご確認ください。
2.定員(250名)を超過した場合は抽選により受講の可否を決定しますのでご了承ください。
3.受講可否の案内は4月中旬迄に郵送いたします。実地講座の申込方法等の案内は受講可となった方に同封してご案内いたします。
4.受講の可否についてのお問い合わせはご遠慮ください。
5.一旦ご入金いただいた受講料はご返金いたしませんのでご了承ください。
◆1講座ごとに受講する場合
※2016年度は受講定員を満たされましたので、1講座ごとの受講は行なわないこととなりました。ご了承ください。
◆大学コンソーシアム京都加盟校の学生について
下記①②に該当する学生は無料で受講できます。実地講座に参加する場合は京カレッジ生として申込む必要がありますので、学生証のコピーを必ず添付して期間内に出願をしてください。
①大学コンソーシアム京都加盟校の学生・留学生(大学院・専攻科・通信教育課程生を除く)
②放送大学京都学習センター全科履修生
※1回毎の受講は、2016年度は受講定員が満たされましたので、行なわないこととなりました。ご了承ください。
今年も特別講座を実施します
2016年度京都学「京の文化遺産」の開講にあたり、オープニング企画として特別講座を開講します。特別講座では、平安・鎌倉期の「歌聖」、藤原俊成・定家の流れをくむ冷泉家夫人の冷泉貴実子氏による講演と、佛教大学八木透教授との対談を実施します。
本記念講座は、入場無料、申込み不要です。
特別講座 2016年 3月12日(土)
「まちかどの神さん・仏さん」
講師: 冷泉 貴実子 氏 公益財団法人 冷泉家時雨亭文庫 常務理事
(対談) 八木 透 氏 佛教大学 歴史学部 教授
京の文化遺産といえば、平安神宮や清水寺などの神社や寺院が有名ですが、実はそれだけではなく、京にくらす庶民たちが、各町内の祠(ほこら)やお地蔵さんを大切にしているということも、決して忘れてはならないことだと思います。藤原俊成を祀る俊成社がそれです。まちかどの神さんや仏さんは、小さくて名もなき存在ですが、町の人たちが代々一生懸命守ってきた歴史があります。これが京の文化の底力ではないのでしょうか。
時間: 13:30~15:00 (開場13:00)
会場: キャンパスプラザ京都 4階 第2講義室
定員: 250名(先着順)
申込不要、入場無料
お問い合わせ先
公益財団法人大学コンソーシアム京都 京カレッジ(京都学講座)担当
〒600-8216 京都市下京区西洞院通塩小路下る キャンパスプラザ京都1階
TEL.075-353-9140 FAX.075-353-9121
MAIL:miyakare-ml■consortium.or.jp(■を@に変更して送信してください)
※受付時間:9:00~17:00(日・月曜除く)