2014年度の「未来の京都創造研究事業」で採択された調査・研究テーマは、それぞれ未知の成果を目指して取り組まれています。その現場の様子を紹介いたします!
未来の京都創造研究事業 2014年度の調査・研究テーマについて
京都企業と外国人留学生のラフな懇談会を実施-
指定課題3「外国人留学生の大学卒業後の就業に関する動向の分析と自治体、企業及び大学における支援方策に関する研究」
研究もいよいよ佳境に入った2月3日の夜、研究を実施している立命館大学キャリアセンター 石原一彦先生の研究グループが、就職活動前の外国人留学生と京都企業との相互理解を深めるためのラフな懇談会を実施しました。
京都企業7社と外国人留学生25人が参加したこの懇談会では、グループに分かれて、「企業が外国人留学生を採用する理由と外国人留学生が働きたい企業とは」をテーマにして語り合いました。
ラフな雰囲気の中、京都企業からは外国人留学生に対してバイタリティや海外展開に向けた架け橋としての役割を期待する声があがり、また、外国人留学生からは、文化の違いに基づくコミュニケーションや、日本の企業文化への不安など、率直な声があがりました。
この懇談会やアンケート調査などの結果を通して、外国人留学生及び京都企業の能力開発プログラムや京都市による外国人留学生の就業環境の整備方策についての提案をまとめられる予定です。
京都企業、京都の大学や京都市のメリットとなる研究成果に、大学コンソーシアム京都もたいへん期待しています!
京町家の庭の現地調査を実施-
継続課題「住宅庭の環境およびその減少が生物相に与える影響」
研究を実施している京都大学大学院農学研究科 柴田昌三先生のゼミの新野彬子さんと3人のメンバーが、西陣地域の築100年を超える京町家の庭の現地調査を行っています。
京町家及び古い住宅庭の分布と、特に鳥類の生物相の関係を明らかにしようとするために、上京区桃薗学区での庭を持つ住宅の住民へのアンケート調査の一環として、新野さんを中心に、住民への聞き取りと併せて、実際に京町家の庭を調査しています。
12月4日(木)、小雨の中での調査。
庭の植物や飛来する鳥の種類、庭のお手入れの状況などについて、丹念に聞き取りし、図に落としていきます。
現地を見なければ分からないことがあり、見ることで新しい展開が生まれる、と精力的に取り組む新野さん。京町家の庭の空間的な分布と生息する生き物に着目したこの研究には前例がなく、成果が楽しみです。
中京マチビトCaféとのコラボ企画を実施-
指定課題2「都心部地域での交流の場づくり」
11月27日(木)の夜、京都工芸繊維大学 西村雅信先生の研究グループと京都市商業振興課の協働により「商いをテーマにした京まちなかでの交流の場づくり」を目指す「茶論案庵(さろんあんあん)プロジェクト」の一環として、中京マチビトCaféとのコラボイベントが中京区の新風館で開催されました。
中京のまちを愛し、何かしたい!と思っている「マチビト」と、商い人「アキナイビト」が入り交りあい、ほんもののカフェを会場に、紙ナプキンに京まちなかの商いの未来づくりに向けた思いを書きとめるという仕掛けの中で、熱く語り合う場となりました。
参加者のみなさまから飛び出したアイデアが、京まちなかの商いの未来を紡ぎだしていく糸となっていくような場づくりに向け、茶論案庵プロジェクトの更なる試行は続いていきます。
市営住宅での臨地調査を実施-
自由課題1「京都市郊外の市営住宅とその周辺住宅地における空間構成と変遷について」
この調査・研究テーマでは、京都市すまいまちづくり課と連携し、市内に99団地もある市営住宅のうち郊外の市営住宅とその周辺地域の関係性について、①団地と接する建物の外観、②団地内のオープンスペースの使われかた、③敷地境界の状況から明らかにしようとしています。調査結果は今後の市営住宅の整備・再編の際に活かされることが想定されています。
9月17日(水)、研究代表者である京都工芸繊維大学大学院博士課程の政木哲也さんが、山科区内の市営住宅での3回目の臨地調査を行いました。(過去2回は山科区と伏見区にて8月に実施)
市営住宅とその周辺地域がどのような関係性をもつのかを明らかにするために、現地の市営住宅敷地と道路や臨地との境界の状況を写真に収め、寸法や隣接する道路幅まで丁寧に記録していきます。
敷地内のオープンスペースの様子や、敷地外への出入口の状況も確認していきます。
複数の市営住宅でのこうした調査結果や市営住宅の変遷に関する資料を分析し、市営住宅周辺の地域環境にどのような特性がみられるかを読み解くことで、将来の市営住宅ストックの集約化などの検討に役立つものとなります。こういう調査結果は、実はこれまでにありそうなかったのですね。
未来づくりの実験は茶室から-
指定課題2「都心部地域での交流の場づくり」
この調査・研究テーマでは、都心部に蓄積されてきた地域資源の魅力を活かした「交流の場づくり」を通して「地域の価値」の再発見と創造を推進する商業者・事業者と市民の育成及びネットワーク形成を図る実証研究を行います。
8月27日(水)の夜、京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科の西村雅信先生の研究グループが京都市商業振興課と連携して行っている「交流の場づくりによる商業者・市民の育成とネットワーク形成にかかわる実証実験」で、まちなかの商業活性化に向けた新たな交流の場が設けられました。
築100年を超える町家の中にダンボールで茶室をつくる驚きの仕掛けとともに行われた「フューチャーセッション」では、参加された地域の商業者など多彩な属性の皆様が、目を輝かせながらまちなかの未来づくりに必要なアイデアを出し合われました。
これらを基に、商業者・事業者や市民、アーティストなどさまざまな主体がつながり、創造する『場』を生み出していくのだそうです。数年後には、まちなかが今とは全く違った姿になっているかもしれませんね。
未来の京都創造研究事業 2014年度の調査・研究テーマについて
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